内臓脂肪と生理活性物質(サイトカイン)
スポンサード リンク
生理活性物質(サイトカイン)の登場
脂肪細胞には褐色脂肪細胞と白色脂肪細胞があります。褐色脂肪細胞は脂肪を燃焼させる役割があるといわれています。脂肪が蓄えられるのは、白色脂肪細胞です。一般に脂肪細胞と言われるのは白色脂肪細胞で、皮下脂肪と内臓脂肪があります。
最近の研究では、脂肪細胞は、単なるエネルギーの貯蔵庫ではなく、様々な生理活性物質(サイトカイン)を分泌していることが明らかになりました。この生理活性物質アディポサイトカインですが、幾つかの種類があることが解かっており、体内で色々な働きをしています。また、コレステロールと同様に、これらの生理活性物質は「善玉」と「悪玉」に分けられています。善玉サイトカインであるアディポネクチンは、各細胞に於けるインスリン感受性を高めインスリン抵抗性を抑える働きがあるとされています。その他複数の悪玉サイトカインは、インスリン抵抗性、血栓形成、血圧上昇、炎症などに影響するとされています。
重要なのは次の点です。善玉サイトカインが減少し悪玉サイトカインが増加すると、インスリン抵抗性が生まれ、結果としてメタボリックシンドロームに見られる病態が発現すると考えられるようになったことです。インスリン抵抗性の原因について新たな可能性が示された点は、重要だと思います。
内臓脂肪肥満主犯説(内臓脂肪蓄積型肥満主犯説)
実は、脂肪、特に内臓脂肪の蓄積が進行すると、善玉が減少し悪玉が増加するらしいのです。要は、「内臓脂肪の蓄積」が引き金となって、メタボリックシンドロームに見られる病態が発現するというのです。極端に言えば、諸悪の根源は「内臓脂肪肥満」であるとしているのです。私は、このような、内臓脂肪の蓄積が原因とする説を、「内臓脂肪肥満主犯説」(内臓脂肪蓄積型肥満主犯説)と呼んでいます。
先に説明しました通り、カプランの「死の四重奏」でも、上半身肥満(男性型肥満=内臓脂肪蓄積型肥満)が病態に挙げられています。
一見正しそうな「内臓脂肪肥満主犯説」ですが、私は不自然さを感じています。その理由は次の節で。